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教育について考えるブログ。

初任者におすすめしたい教員が守るべき10の習慣

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教育の世界に初任者の層が増えてきていましてね。大量採用された時代の人達がここから一気に退職していくので、若手をいかに育てるかが非常に重要になってきているわけです。

 

私も次の世代にノウハウを引き継いでいかなければいけない立場になってきているので、初任者にはこんな風に働いたら良いよという自分なりのアドバイスをまとめておきたいと思います。

2週間先まで作っておく

まず授業は2週間先まで見通して作っておくことをおすすめします。

 

なぜ2週間か。その一つは単元構成で授業を考えられるからですね。

 

私が担当している社会科の場合、2週間で6コマほど授業が回ってくることになります。これは大体単元にかけられるコマ数と同じなんですね。そうなると2週間分考える事で単元の中でどこで何を教えるべきかが見えます。この単語は無理にここじゃなくても、次の授業で取り扱った方が理解しやすいか、なんていうより適切な授業づくりにも繋がります。

 

また2週間先まで作ってあると、感染症や急病で倒れた時もリカバリーが効くんですね。病気で倒れてしまった時にも、単元の最後にやろうと思ってたプリントを他の先生に持って行ってやってもらうなんてこともできるわけです。

 

なので、ゆとりをもつためにも2週間先まで考えることを勧めたいです。

 

ちなみにゆとりをもちたいなら、もっと先の授業まで作ったらいいじゃないか、という人もいるかと思いますが、あんまりおすすめしません。そもそも無理しすぎると辛いですし、2週間以上先取りするとなるとかなりの負荷になります。

 

学校全体も行事なんかで授業の予定が変わる事もありますし、子ども達の理解の状況によっては授業を変えないといけないこともしばしばあります。

 

そこまで先のものを作るのはモチベーションも上がらなかったりしますから、2週間先ぐらいまでを見通して作っておくのがちょうど良くておすすめです。

テストから作る

長期休業なんかの時間がある時におすすめなのがテストを先に作ってしまうことです。

 

テストを先に作ることで、何を教えておかないといけないか、どこまでにどの単元まで行っている必要があるか見通しがつくんですよね。

 

定期考査は授業でやったことが定着しているか、または授業でやったことを活用する力があるかを見るので、全く教えていないことがテストに出すのは基本的にはルール違反だと考えています。なので先にテストを作る事によって抑えるべき点を明確にした上で授業ができる訳です。

 

またこれをやっておく事は、プライベートの充実にも繋がります。中学・高校の場合ですが、テスト前は部活がないので、早く帰ることが可能です。他の先生達がテスト前に慌ててテストを作っている時に、既にできていれば「今日はカフェに寄ってから帰ろうかな」「洋服見ていこう」なんてことも可能になります。

 

何にせよ先にテストが出来ていて損な事はあまりありません。時間があるうちにコツコツ作っておきましょう。

得意分野を作る

教科でも部活でも生徒指導でも自分の得意なものがあるというのは精神衛生上とても重要だと思います。

 

行事で勝てなくて、学級経営もうまくいかなくて。生徒からは「あっちの先生が良かった」なんて言われたり、保護者からも「今年はハズレ」なんて言われたりしたら、やっぱり辛いですよ。

 

だからせめて「ここだけは絶対に他の先生に負けてない」と思えるものをもつべきですね。

 

特に初任で若いうちは、生徒も親近感を持ちやすいので、生徒とのコミュニケーションを頑張ってでもとるべきだと思います。これはもう若いうちの特権なんですよね。生徒とのコミュニケーションというのは生徒指導の領域にあたるので、会話なんて無駄だと思わずに積極的にやるべきだと思います。

 

休み時間も関わったり、帰りがけに声をかけたり。こういう何気ない関わりがいざという時の身を守ることにも繋がります。

 

ちなみに私は学年問わず目に留まった生徒に声を掛ける気持ち悪いやつなんですけど。以前生徒指導でかなり揉めた時に、保護者からかなり厳しい言葉で責められた事がありました。

 

でもそんな時でもコミュニケーションを取っていた子だったので生徒本人から「この先生はそんな人じゃないよ」と言われた事があります。その時の事は今でも強烈に印象に残っているんですよね。

 

やっぱり教育は子どもが主役ですから、子どもがそう言っている以上は大丈夫なんですよ。なので得意領域を作る努力って非常に重要ですし、若いうちはとにかく生徒とコミュニケーションをとることを勧めます。そうやって関わってくれる先生に対しては授業でも頑張ろうと生徒は思うものですからね。

 

三遊間の仕事に飛びつく

教員の仕事では校務分掌が割り当てられて、教科とか部活とか委員会を受け持って仕事がスタートするんですが、その中には誰の仕事でないものが存在します。

 

これをある大学の先生が「三遊間の仕事」と呼んでいたんですが、これを積極的にやるべきですし、私も飛びついてでもやった方がいいと思います。

 

自分自身を振り返ってみても、これまで全国規模の大会で実践発表したりした経験が一番学びが多かったように思います。これまで2回経験しましたが、どちらも誰の仕事として割り振られているものでなく、年度の最初に急にやる人が必要になったものなんですよね。そこに手を挙げた経験が今の自分を支えています。

 

ちなみに今度は外部で活動している子のために2泊3日で部活の大会を引率します。常設の部活動ではないので、誰の仕事でもない、これはまさしく三遊間の仕事なんですね。

 

3日も家を離れるのは家族に申し訳ないとは思いますが、自分のやったことのない競技を見ることで経験を広げることにもなりますし、職場の他の先生からの信頼の獲得にもなります。なので、引き受けることにしました。

 

そういう誰の仕事でもないものに飛び付けるかが伸びるかどうかの上でとても大事ですし、信頼を勝ち取る上で重要だと思います。

 

人間の能力に差なんてないですから、経験の差があるだけなんですよ。だったらできるだけたくさん経験した方がいい。

 

子どもから信頼されて学級がうまく回ったり、保護者から信頼されたりすると本当にこの仕事は面白いものです。なので、最短でそこに辿り着くためにも「三遊間の仕事に飛びつけ!」と声を大にして言いたいです。

迷ったら相談する

初任のうちはうまくいかないのが当たり前です。

なので、授業にしても生徒指導にしてもとにかく周りに相談することが大事です。

 

とにかくボールを自分のところで止めないこと。ボールを抱え込まれるとサポートもできないですし、周りも仕事を進められない。生徒指導なんかはそれで発見が遅れていじめの重大事態になってしまうこともあります。子どもを育てる教員という立場にある以上、どんな事があっても子どもの不利益になることだけは避けなければなりません。

 

成績の付け方、朝の会の進め方、保護者に連絡すべきかどうか…経験が浅いうちは分からないことがいくらでもあるはずです。

 

また経験者側は実は聞かれることが大好きです。人に教えたくてこの仕事についてるくらいですからね。でもウザがられたくないからあんまり言わなかったりするんです。教えられることを嫌がるタイプもいますし、下手なことを言うとパワハラとか言われてしまう世の中です。私も聞かれるまでは教えないと心に決めています。

 

だから自分から援助要請が出せることが非常に重要なのです。これは言うべきか、どうしたらいいのか、迷ったら自分が一番職場で信用できると思う人に「ちょっと教えて欲しいんですけど」と聞くようにしましょう。言われた方も悪い気はしませんし、可愛げのある後輩になれますからね。

メンターをつくる

上の相談するとも繋がりますが、自分自身を振り返ってみても職場に信頼していて相談できる同僚(メンター)がいるかというのは非常に重要だと思います。

 

人は会話をすることで自分自身を整理できるところもありますし、何より初任の柔軟なうちによいものを吸収しておく事がその後の教員生活をスムーズに進めるためにもとても有益だと思います。

 

出来れば年齢が少し上、それでいて立場は同じ教諭みたいな人がメンターとしてはベストだと思います。

 

というのもそういう人を見ていると仕事だけでなくプライベートでもこれから先の自分がどうなっていくか見えるんですよね。

 

その人の姿が数年後の自分ですから、来るべき将来に向けて今何を準備しておくべきかが見えるわけです。

 

ティーブン.コビー氏の「7つの習慣」にもありますが、そういう「緊急ではないが重要な事」をいかにやっておけるかがよい教員人生のためにも重要だと言えます。

 

またメンターでなくても職場に信頼できる友達がいるというのはすごく大事だし、幸せなことです。友達がいたら職場は友達に会いにいく楽しい場所になりますからね。

 

子どもが友達に会いに学校に行くように、教員にとっても信頼できる同僚がいるというのは働く上で非常に重要なことなのです。

 

なので最近の若い人達は嫌がる人も多いと思いますが、同僚とご飯に行ったり、軽く飲みに行く機会というのはその仲を深める上でも大切だと思っています。

 

もちろん強制はしませんが、そういった同僚との会食なんかは仲を深めたり、自分自身が楽しむためにも大切にすべきだと思っています。いざという時に自分を支えてくれるのはそういう人間関係だったりしますから。

 

ちなみにそういう場に参加するのが苦手だったり、職場にあまり気のあいそうな人がいない場合は今の時代だったらインターネットで繋がるのもありでしょう。他にも初任者同士の繋がりも関係性が並列なので色々と喋りやすいところがあると思います。

 

何にせよ仕事のことについて相談し合える人間関係を構築しておくのはとてもおすすめです。

記録をとっておく

教育の世界に入って来ると、いきなり難しい生徒指導にあたることもあります。

 

そういう時には身を守るためにも記録を取るクセをつけておく事がとても重要です。いつどこで誰がどんな面談を持ったのか、保護者や本人のニーズは何なのか、相手から何をされたのかなど、事細かく記録しておくことが、いざという時自分の身を守ることに繋がります。

 

また生徒指導の面だけでなく、自分自身の働いている時間の記録を記録しておく事もいざ倒れた時なんかはとても重要な資料になりますので、自分の身を守るためにもどれだけ働いているのかは正確に記録に残しておきましょう。

 

また記録の中で最もオススメしたいのは、授業について記録を取っておくことです。私は授業をするたびに何が良くて何がダメだったのかノートに書き出すようにしています。子供の表情が良くない時には、発問が良くなかったのか、それとも構成が腑に落ちていないのか、子ども自身のコンディションが良くないのか、グループの子との関係が良くないのかなど、ダメで終わらせずに必ずそうなっている理由を考えます。

 

もちろん良い時にはノート上で自分ことを褒めて讃えます。

 

落ち着いて考えると授業前には見えなかったものが見えるんですね。そして、そういう蓄積や自分自身への振り返りがよりよい授業を作ると思っているわけです。

 

学校には授業プランを書きこむ週案もあるので、それで良いのではないかとも思われるのですが、週案は提出を求められることもあるので、本音をかけないんですね。私は本音で書ける事がメンタルを保つ上でもとても大事だと思っているんです。

 

あの子が気になる、あの先生から言われた一言が嬉しい、腹立つ、なんていう本音を私はノートにばんばん書いています。だから絶対に人には見せられないですし、ある意味でスマホより無くしたら慌てます。それぐらい自分の感情をむき出しにしてノートに書きまくっているんですね。

 

私が初任の頃からつけてるノートは結構な量になりました。すでに古いものもあるんですけど、なんとなく捨てられないんですよね。たまに見返すと自分の成長が分かって何となく前向きになれる宝物です。

絶対に法に触れない

これはもう絶対だし、言うまでも無いんですが、法に触れる事だけはやめましょう。

 

特に若いうちは生徒側から異性として見られることが多いんですよ。生徒からもするとちょっと年上の違う世界に生きている人間が魅力的に見えるんでしょう。だけど、そこに乗ってしまうと一生を失うので絶対にやめてください。

 

他にもちょっとした事で自分の人生が狂ってしまう事があるんですね。なので私はニュースを見るたびに全国の学校の失敗事例をスマホにメモして、同じことを自分がしないように気をつけています。

 

最近だと学級通信にネット上の画像使って訴えられた例など、知らないことで法に触れてしまっていることもしばしばあります。また、校庭の防球ネットが折れて子どもが亡くなってしまう事件など、管理体制を問われるものもあります。

 

機密文書をうっかり無くしてしまうなんて事もありますから、教員として学校で働いていて生徒の命と個人情報を守っている以上は、気をつけないといけないことはとても多いんですね。

 

どれだけ日頃良いこと言っていても法に触れることしてる人間に教育をやる資格はないと思っています。それに、それをやってしまうと、これまで子ども達に教えていたことが全て嘘になってしまいます。

 

教員の違法行為は子ども達の楽しい思い出を全て負の思い出にさせてしまう可能性があります。だからこそ、それだけは絶対にあってはならないと思うんですよね。

本を読む

次はこれです。本を読みましょう。自分で考えることなんてたかが知れてるから、いかに本を読んで他人の考えたことを使うかが大事ですし、結局のところ効率がいいです。

 

ビジネスの世界で有名な田端慎太郎氏が「本を読む時間がないって言うけど、俺に言わせれば本を読まないから時間がない」という発言をしていますが、私もその通りだと思います。

 

いざという時に自分でゼロから考えようとするから時間がかかるんですね。日頃から本を読んで自分の中に知識を蓄積しておく。いざという時はそのストックからパッと引き出す。そうすることによって大幅に時間を短縮する事ができます。いわば読書というのは貯金と一緒なんですね。

 

私自身、教科に関する本で良いと思った著書の本は全て買っていますし、今も気になった本はすぐにAmazonで買います。暇になるとすぐに本屋に行くのが、ルーティンになっています。

 

また毎日のように図書室を歩き回って読みたい本探すようにしています。学校の図書室は古典の名著みたいなものはほぼ確実に置いていますし、費用もかからないので教員こそ利用すべきだと思っています。

 

電車に乗っているとスマホ見てる人間がほとんどなことに気づきます。物の価値は希少性で決まりますが、現代では本を読む行為そのものが希少なのです。

 

なので、本を読む事は希少価値を高める行為であり、自分の価値を高める行為だと思っています。

プライベートから予定を埋める

学校の先生って真面目な人が多いんですよ。

なので働き始めて休日も部活や教材研究に打ち込んで、いつの間にか婚期逃してたと言う人は周りを見ても少なくありません。

 

真面目に一生懸命働く人生は素晴らしいと思いますが、振り返ったときに仕事だけが残る人生もまたちょっと寂しいのではないかと思うのです。

 

なので部活のハイシーズンだろうと、週に一回は完全に休むべきだと思いますし、その予定は何よりも優先して埋めておくべきというのが私の考えです。

 

人生楽しむために生きてる訳ですし、仕事はそれを達成する手段に過ぎないので、それが逆になってはいけないんですね。

 

部活の大会で土日も出勤になっている時なんかは平日が振休になりますから、年度の最初にこの平日振休という贅沢な時間を何に使うか考えて予定を埋めてしまいます。

 

温泉旅行でも良いですし、行きたかったテーマパークに行くのも良いでしょう。そういう目的をもって仕事をした方が、仕事にもハリが出ると思います。また生徒からしても同僚からしても「自分の世界をもっている人」の方が魅力的に見えると思うんですね。

 

私自身、初任の頃はとにかくがむしゃらに働いていましたし、休む事よりも仕事をする事に美徳を感じていた所もありました。でも今はもうそういう時代じゃないんですよね。

 

子どもにとって親の次に身近な存在である教員が仕事もプライベートも充実している姿を見せる事が、子どもの将来にとっても良い影響を与えるはずです。

 

何より体を壊したら元も子もないので、プライベートを大切にして、自分を大切にする事が周りの人を大切にする事につながると思います。

 

なので、まずは自分のプライベートを最優先しましょう。私生活より大切な仕事は存在しません。

終わりに

つらつらと書いてみましたがいかがでしたでしょうか。

 

どの項にも共通するのが、「緊急ではないが重要なこと」をいかにやっておけるかだと思います。そうは言っても目の前の緊急に追われてしまう毎日かと思いますが、ちょっとこれらの事を意識してやっておけるかどうかが、楽しい教員生活にできるかどうかの分かれ目なのではないかと思うのです。

 

私自身も振り返ってみると初任の頃が経験もなくて苦しかった覚えがあります。これからたくさんの若い世代がこの世界に入ってくると思いますが、私が書いた事が少しでもそんな皆さんのお役に立てれば幸いだと思って書いてみました。

 

いい教員になることはいい人生を送ることとイコールだと思います。ともに頑張りましょう。

 

読んでいただき、ありがとうございました。