子どもが3人いる多子世帯について、大学費が無料になるらしい。
岸田首相は以前から「異次元の少子化対策」を掲げており、これを聞いた当初Kも確かに異次元だと感じた。
大学の費用は年間平均80万円ほど。4年間で320万ぐらいだから、3人なら1000万近い。
つまり、実質子どもが3人いてかつ大学進学を考えている家庭には1000万振り込まれるのと同じ政策である。
現に我が家は子どもが2人で、3人目となると金銭的には迷うところである。しかしながら、1000万貰えるとなれば話は変わってくる。もう1人考えるべきか。すでにそう考える人間がいるだけでも少子化対策としては効果があるのかもしれないと思えた。
隣の席の先生なんかはまさにこれから大学受験を控えるお子さんを3人抱えているので、ニュースを見た朝から上機嫌だった。
しかし、ニュースの続報をみると、「1番上の子が扶養から外れた場合、3人にカウントしない」という。
つまり、歳が離れている場合、3人いても無料になるのは1番上の子だけで、300万ほどの支援だ。
無いよりはあった方がいいに決まっているが、最初に聞いた時に受けたインパクトからは程遠い。この政策が少子化対策に結びついているかと言えば結びついていないのではないかとすら思った。
この政策で変わるのは出生率では無く、大学進学率なのでは無いだろうか。「私は専門学校でいいと思ってたけど、三人兄弟で大学無料になるんで大学にしました」という人が増えるだけなのでは無いか。
そもそも大学の数がやたら増えている中で、本当にそんなに多くの人間が大学に行くべきなのかも疑問だ。みんなやたらと大学に行きすぎである。
なんなら隣の席の先生は「んじゃ1番上の子には下の子が大学の入るまで留学か就職浪人しててもらおうかな」なんて言い始めたりする。わずかな差で数百万が変わるのだからそう考える人間が出てくるのも当然である。
考えるほどにあまり意味がないし、税金を効率的に使えていない策だと思う。
それなら「子供産んだら1000万」とか「国立大学は無料」の方が平等だし、分かりやすいし、インパクトあるし良いのではないだろうか。
国立無料であればある程度学力が保障された子が入学するし、より競争も高まって優秀な人材が集まるだろう。
というかそもそも少子化は金で解決できる問題なのかとも思う。
20代の46%が交際経験がないという最近のニュースを見ると、もはや草食系を通り越して絶食しているとすら思う。
その若者が恋愛しないのは金がないからではないだろう。それよりも手っ取り早くて思い通りになる娯楽が周りに溢れているからだ。わざわざ時間と手間をかけて相手を口説こうという労力を掛けたくないのは分からんでもない。今の時代だったら自分もそうだったかもしれない。
いずれ学校現場で恋愛の仕方を教えてくれなんて言われそうで怯えている。
何にせよ早い段階での異次元の少子化対策を期待するばかりである。