先日こちらの本を読みましたのでご紹介したいと思います。
以前話題になっていた時に読まないままだったので,今更読んでみた次第です。
これ,めちゃくちゃ面白かったのでお勧めです。
バッタ研究者である著者がモーリタニアというアフリカの国までバッタの研究に向かうというお話。バッタって「蝗害」って言われるくらい大量発生して食べ物を食い散らかして行きますから、その生態の解明が必要みたいなんですね。
この本の何が面白いってまずは著者の圧倒的なバッタへの愛。
そのバッタへの愛に筆者のユーモアが加わって独特の世界観を作り出しています。
100万人の群衆の中から,この本の著者を簡単に見つけ出す方法がある。まずは、それが真っ黒になるほどのバッタの大群を,人々に向けて飛ばしていただきたい。人々はさぞかし血相を変えて逃げ出すことだろう。その狂乱の中、逃げ惑う人々と反対方向へと一人駆けていく、やけに興奮している全身緑色の男が著者である。
書き出しからこんな感じで引き込まれました。
更に子どもの頃から抱いていた夢が「バッタに食べられる」だそうで。本当にバッタへの愛があるんでしょうね。
また途上国モーリタニアの生活様式が面白い。食事では羊をおとして骨髄でご飯を炊いてみたりと,ワイルドさ満点。
更にはハリネズミや,ゴミムシ,サソリなどの野生動物や昆虫の登場には,身の毛のよだつものを感じました。
またオアシスは我々が知っているような場所ではなく,実際には動物たちが唯一の水を求めて群れを成すために糞尿が入り混じる「不愉快な水たまり」だったり,と我々がイメージするものと現実の違いも勉強になりました。
そして,同時にこの本ではそこまで研究してもなかなか食べていけない、いわゆる「高学歴ワーキングプア」についても触れられているわけで。
今大学院まででも就職が無いとか、そういう人が結構いるみたいですけど,そういう世界を垣間見ることが出来ます。
私が本を読んでいて一番思ったのは,
「こんなにも情熱を燃やせるものをもっている著者がうらやましい」
っていうことなんです。
いやそれこそ私もバレーとか好きなんですけど,ここまでかなって。
自分の生活を賭けてまで追い求めたいと思えるものをもっている人生ってやっぱり幸せなんじゃないかなって思いましたし、だからこそそういう人たちがもっと活躍できるように研究に国はお金をかけてほしいなって思いましたね。
この本を読みながら,多分一生行くことはないでしょうけど,モーリタニアという国を疑似体験出来たように思います。
外に出られない今だからこそ,読書の中で遠い国に想いを馳せてみるのもいいのではないでしょうか。
皆様の読書の参考になれば幸いです。
本日も読んでいただき,ありがとうございました!