先日こちらの本を読みまして。
テレビでもお馴染みの古市憲寿さんの本ですね。
「平成くん、さようなら」を以前読み、それが結構面白かったので、三作目となるこちらの作品を読ませていただきました。
(こちらもおすすめです)
まず感想なんですが、
超面白かったです。
もうめちゃくちゃおすすめ。
ここ最近読んだ小説の中ではトップ走る面白さです。
あらすじとしては,スター歌手だった女性がステージから落ちて、ほぼ全身が動かせなくなってしまい、それを家族が介護するというお話。
本人は全く動けない中で物語が展開していくんですが、
何が面白いって
家族が超クズ
なんです。
あまり書くとネタバレになってしまうので控えますが、妹が動かないことをいいことに、姉はスターだった妹の金を使い込んだり、父親も母親ももう最高にクズ。
そのクズっぷりに吐き気すらしてきます。そして同時に目が離せない。人の家庭って見えないじゃないですか、それを覗き見している感じ。
見ちゃいけないものから目を離せないような中毒性があります。
主人公はまったく動けない中で、意識だけははっきりあるという状態。何とか今の状態から抜け出せないかと思索を巡らせるわけですが、その足掻きがまた見ていて辛い。
徹底した心理描写と古市さんならではのシニカルな表現がクセになる一冊です。
「平成くん、さようなら」から継続して現代を象徴するようなアイコンの連発がまた作品を印象的なものにしています。
寝たきりのまま家に帰ることになったシーンではこんな表現が。
玄関には未だに姉の作った「ふじもと」という表札が飾ってあった。色とりどりのビー玉で名前を作っているのだが、救いようのないほどセンスが悪い。田舎の民芸品店でしか見かけないような感性を姉はどこで習得したのだろう。
なんて実の姉を主人公が徹底的にこき下ろした文を書いてしまう。
古市さんて日頃から多分こういうこと考えてる相当ねじ曲がった人なんでしょうね。
主人公がトップシンガーから,一気に奈落の底に落ちていくその姿は読者の気持ちを間違いなくザワザワさせます。
正直なところ,最初の書き出しの意味が分からず、「やべっつまんなそ」と思ったんですが、分かってから読み返すとまた鳥肌が立ちました。
更にラストも衝撃的なんですが、映像化できないタイプのオチになっております。
ということで、面白い本を探している皆様に自信をもって勧める一冊です。
この自粛期間中の、次の一冊にいかがでしょうか。
皆様の参考になれば幸いです。
本日も読んでいただき、ありがとうございました!