さて、伯母の葬儀に参加して来たわけなのだが、そんな葬儀の時に決められるのが戒名である。
今回は伯母がコーラスをやっていたこと。
さらには名前からは「富」の一文字をとり、
「麗奏慈富信女」
という戒名が伯母につけられたのである。
これまで色んな戒名を見て来たが、ここまで本人にピッタリ合うものを見たことがなく、我々はとても喜んだわけである。
そこから考えたのだが、和尚さんに決めてもらう戒名とは遺族で考えてはダメなものなのだろうか。
(気になって調べてみたら出来るようである。ただし実際には菩提寺との関係性があるのでそうそう簡単に出来るものではない模様)
そもそも遺族の方が故人がどういう人なのかは分かってるわけで、本人にあった字は選びやすいのではないか。
さらにはその与えられる位によって戒名代が変わってくるらしく、最後までお金がものを言うようでなんだか悲しい話だと思ったのである。
さらに言えば
親が子に名をつけたように、今度は子が親に天での名をつける
というのがストーリーがあっていいと思ったのである。
そこから精進落としの場で我々三兄弟で、
「俺たちで親父に戒名をつけるとしたら何かね?」
という話題になったのである。
色々と考えたのだが、うちの父親にはこんな象徴的なエピソードがあるのであるーーーーーーーーー。
以前父はバレーの審判に使う笛を購入し、届いた瞬間使ってみたくてたまらなかったらしい。
しかし、家で吹くと近所迷惑になってしまい、かといって体育館に行く機会はなかなかない。
早く吹きたくて吹きたくてたまらない父親。
そんなある日母親がこんなことを私達に言ったのである。
「最近お父さんね、
布団の中で笛吹いてるの…」
なんという気遣い、そして買ったばかりのものを試したいという少年のようなハート。
ということで、うちの父親は
布団の中に包まって笛を吹いていた
という小学生のような過去をもつ男なのである。
これは鉄板のエピソードの1つであり、これまで何度もこの話題は我々一家を笑顔にして来たのだ。
本人の性格がわかる象徴的なエピソードでもある。
なので我々としてはこれを戒名に生かしたい。
さらには父親の名前から「彦」の字をとって、
我々からはこんな戒名を父親に提案してみた。
それが、
「布団中笛彦居士」
(ふとんちゅふえひここじ)
如何だろうか。
なんだか天国でもイジられてしまいそうな名前である。
しかし、これには天国で思う存分笛を吹いて欲しいという我々の願いが込められている。(←やかましい)
ちなみに「この戒名どう?」という我々の提案について父親は、
「生き返って抗議する」
とのことであった。
そうか、生き返る気になってくれるのか。
だとしたら、
余計に良いかもしれないな、
なんてことを思う悪い三兄弟なのであった。