我ながら理屈っぽいと思う。
そして理屈で動くことは悪いことではないと思っているし、反省もしていない。理屈を積み上げてきたからこそ今の私があるのである。
しかし、結婚をしてしまうと、そうも言っていられない。
どうやら私が屁理屈であることによって妻が迷惑を被っているようであるーーーー。
「イチゴ狩りに行きたい」
と妻が言い出した。当然私は渋い顔である。なぜなら果物が特に好きでないから。イチゴで甘いものを取るなら、ケーキでも食べていたい派なのである。
私「車でどれくらい?」
妻「一時間」
私「いくらすんの?」
妻「1人1,500円」
ますます行きたくない。遠いし、高い。
そもそもイチゴのショートケーキの苺すら人にあげてもなんとも思わないのが私なのである。
往復に2時間もかけるなら、500円のパックを1つ買ってきて食べるだけでも十分。もしくは1,500円払うなら、近場のケーキ屋で3つケーキを食べた方がいい。
ちなみに人生で自主的に果物狩りに参加した経験がない。果物にそれくらい魅力を感じていないのである。
しかし、それを言ったところで妻が納得しないことはこれまでの経験から分かっている。夫婦間に溝が入ることは私としても避けたいところなので、応じることにした。
車に乗って出発してもやはり私の気持ちは盛り上がってこない。
「刀狩りにせよ、おやじ狩りにせよ、狩りってつくもんはどこか響きが暴力的だよね」
「そもそもとったその場で洗いもせずに食べるって衛生的にどうなのかな」
「イチゴの甘さより、チョコレートの方がポリフェノールもとれるんじゃないかな」
とやかましいことを言い続ける。そんなこんなで無事農園に到着。
めちゃくちゃ混んでいて驚かされた。みんなそんなにもイチゴが食べたいのか。私には理解できない。
チケットを購入し、いざビニールハウスへ。
練乳のかけ放題を前にしても私は、
「練乳はイチゴ本来の風味を損なうよね」
と我ながらやかましい。
しかし、いざ摘み始めると、ここまでうるさかった私が一転。いちごたちの艶やかさに魅了される。
きっきれいだ…。
さらに、摘んで食べるという行為になんとも言えない開放感があるではないか。
「甘っ。うまっ」
一口食べると止まらない。自分の好みのイチゴをとって好きなだけ食べられる。なんと贅沢な話であろうか。
さらに、味に飽きてきたので、練乳にもつけて食べてみる。
「あうよね〜!」
そう、合うのである。味が変わりいくらでも食べられそうだ。
よって練乳をドボドボと追加する。
、
結果的にだがめちゃくちゃ食べてた。帰ってきてからずっと腹痛を訴えるくらい食べていた。
帰り道で私は言った。
「この1,500円はあれだね。単純にいちごに対する対価ってだけじゃなくて、あの雰囲気の中で苺を摘み取る、その体験にみんなお金と時間をかけに来ているわけだね」
妻は言った。
「まだそんなこと言ってんのか、うるせぇ。」
「いつも最終的に一番楽しむクセに。行動するまでの講釈が長いんだよ」
すいません…。
とりあえず従うが吉。
そんな休日だった。