さて,今年度も残すところあと5日ほどの勤務となった訳だが,今年度が終わることを私は心待ちにしているのである。
なぜならパワハラ上司の転勤が決まったからである。
今回の春の人事異動で転勤が正式に発表されたのだ。
なぜパワハラを繰り返している人間が昇進するのかについては納得いかない部分もあるが,少なからず自分から離れてくれればそれでよいと思っている。
それぐらい,この一年はこの人物が職場に居ることが私にとってストレスだったのである。(年休を取ると言い出すのも緊張していたくらいだ。)
同時に,このパワハラ野郎と私の間には,もう一人,間に入る中間管理職的な人間がいたのだが,この人の働きっぷりがまぁいまいちだったのである。
仮にその人物を仲間(なかま)と名付けよう。
仲間の何がダメかというと,パワハラが言うことをなんの悪気なく,もらさず下に伝えてくるのである。
「あの文書はダメだよ。この文じゃ伝わらない」
「あの生徒指導は無いよ。もっと別の言い方があるはず」
「この文書はもう少しこうでないと」
そういう上司が言ったことを全て一言一句もらさず伝えてくる。
そもそも同じことを言うのであれば上司が直接言っても同じはずである。
WBCで通訳の水原一平氏が監督が言ったことに対して,外国人選手に直訳では伝わらないと感じた時には,言葉を変えたり,逆にモチベーションを高めるために不要な言葉を切って必要な言葉だけを残して伝えているということがニュースになっていたが,こういう工夫が全くないのである。
ただ伝えているだけ。(糸電話かね,君は。)
ここから私が思った中間管理職に求められる能力は二つである。
①情報の取捨選択のセンスの良さ。
②上司と部下の人間性の理解
である。
上司と部下の両方を見ながら,チームが最も高いパフォーマンスを出せるように互いの情報をつないでいく。これが中間管理職に求められる能力なのだと思う。
単純にパワハラがあることも最悪なのだが,ここがうまく機能しないことによってモチベーションは下がる一方だったのである。
そしてもう一つが③武士性である。
この仲間なる人物が信用を失う機会は他にもあったのである。
ある日、パワハラ上司が我々を呼び出し,
「あの時のお前のあの行動はなんだ!?おかしいに決まってるだろ!?」
と私の同僚を怒鳴りつけたことがあったのである。
勿論場は静まり返り,30分ほど続いたお説教に,言われている同僚はただ「すいませんでした…」と頭を下げているだけだったのである。
しかしながら,その時怒られていた同僚がとった行動というのは,実は事前に仲間が指示していたことが分かったのである。(私も知らなかった)
つまり,怒られた同僚は上司である仲間から指示された通りに動いた結果、パワハラ上司から怒られたのである。
もちろん怒られた場には仲間も同席していたわけで。
「すいません、それは私が指示した事でした。今回は私のミスです」
「叱るのなら私を叱ってください。すいませんでした」
ぐらいのものがあればまだ理解できるのだが,そういうの一切なしである。
ただ一緒にパワハラと一緒にうなづいて「お前の行動は良くないぞ」みたいな顔をしているのである。いやいやいや。
結果的にどんどん仲間は求心力を失い,「あいつに報告するのもうやめようぜ」みたいな雰囲気まで出始めているのである。
だから中間管理職に必要なのが「武士性」なのだなと思う。
上(管理職)と下(現場)に挟まれて,本当に苦しい立場なのは良く理解できる。
しかしながら,そんな現場の意見をちゃんと上に伝える武士性をもっているか。
また現場が間違えた時に,自分も一緒に謝れる武士性があるかどうかである。
ここで昇進だけを考えて居たら,上にだけ良い顔をしていればいいのである。しかし,それでは全体のパフォーマンスはけして上がらないだろう。
さて,私も色々と間に挟まれることが多くなってきた年代である。
果たして自分に武士性はあるのか。
そんなことを自らに問いながら今年度を終えたいと思っている。