教職者K

教育について考えるブログ。

NIEの問題点。

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今年一年私は何やってたのかというと,NIE(教育における新聞の活用)をやってたんですね。

 

それこそ新聞からテーマ作って議論させてみたり,新聞の空白に当てはまる言葉考えさせてみたり…色々とやってきたんですけど。

 

最新のニュースが使われるという意味では教科書を扱うよりもはるかに生徒たちの興味関心を引き出しやすいと思いました。

 

また実際にアンケート取ってみたりすると,8割以上の子が「授業が楽しい」「この授業は将来役に立つと思う」と回答したりしていて,実生活に役立ちそうだと思って授業受けてくれてるんですけど。

 

ただやりながらその問題点も見えて来たのでちょっと書いてみたいと思います。

分野によっては活用できない

まず分野によって全く使えないところがあるということ。

 

社会だと地理分野だとかなり新聞は使いやすいんですが,歴史分野を学習中はほぼ使えません。(「新聞の形式にまとめる」という方法はありますけどね)

 

これがまた公民分野になるとかなり使いやすいでしょう。

 

その教科や分野によって生かせる部分とそうでない部分があるというのはかなり感じました。

 

(英語だと英字新聞を訳すとかは面白いと思いますが,数学への使い方は思いつかないですね笑)

すぐ役立つものはすぐ役立たなくなる

また最近感じているのが,「新聞のニュースの知識は使えるのが即時的」ということです。

 

例えば駅伝でどこの大学が優勝したというニュースはその時は話題になりますが,その知識は一年後に新しい優勝校が出た際にはまるで意味がありません。

 

これが例えばその優勝に至るまでにどんな苦労があったのか,どこの部分が自分に生かせそうかを子ども達が考えていれば価値があると思います。

 

しかし,実際にはそこまで行かないことがほとんどなわけで。そうなると断片的な知識になりやすい。

 

なので実は時事問題とかっていうのは一時的なもので,生徒たちの血肉にはなりにくい知識なのかなと思いました。

未来に新聞はあるのか

そして未来に新聞があるのかという問題もあります。

 

例えば今の新聞は2000年代と比べて1000万部発行数が減っており,購読世代はほとんどが高齢層になって来ています。

 

ネットから情報を集めることに慣れている子ども達が,将来新聞を読むのでしょうか。

 

もしかしたら大人になるころには新聞という媒体そのものが無くなっているかもしれません。

 

それに,これからどんどん日本も生活が苦しくなっていくと思いますが,無料の情報が溢れている時代に新聞代として月3000円出すのはなかなか難しく,最初に削れるところとも言えます。

 

未来では新聞は一部の富裕層が読む贅沢品のようなものになるかもしれません。

 

(というかすでにそうなっている気もします)

 

なので,ネットからの情報をいかに正確に読むか,見比べたりしながら批判的に読める力を養っていく方が,将来のことを考えたら使える技能なんじゃないかと思ったりします。

新聞が読めない子ども達

そして,気づいたのですが子ども達は新聞の情報が正確に読めていません。

 

毎回授業の初めに新聞の切り抜きから,気になったニュースを発表させているのですが,要点がつかみ切れていなかったり,発表内容と新聞の内容が違うこともちらほら…。

 

要は新聞と見出しだけで内容を判断してるんですね。

 

全然読むところまでいっていないというか。

 

もちろんそうやってパッと見て情報を判断できる視認性の高さが新聞の良さでもありますから,それは否定はしないんですが,クラスの前で発表する記事までもがそのレベルで終わってしまうのは生徒たちの読解力の低さが原因であると言わざるを得ないと思います。

最後に

このように一年やってきて新聞という媒体の問題点も感じたので書いてみました。

 

しかしながら,ペーパーだから目に優しいですし,広い紙面は他の生徒とのコミュニケーションのツールにもなったりしています。

 

(実際に授業を始めてから新聞を開いて子ども達が会話をする姿が見られるようになりました)

 

なので私としては色々と問題点は感じながらも来年も継続しようかなと思っています。

 

このアナログのものを学生時代は使ってもっと読解力やコミュニケーション力,批判的思考力を鍛えておく。

 

その下地を作っておくことこそが,大人になってネットで情報を得る時にも使える力になるんじゃないかと思っております。

 

今回の記事が皆様の参考になれば幸いです。

 

読んでいただき,ありがとうございました!