最近この本を読んでいて。
こちらの本はミステリー作家の方が書いているもの。
「面白い」っていうのは具体的にどういう状態なのかを事細かく考えた一冊です。
読んでいて私は教育のプロとして「授業における面白いとは何か?」を細かく考える必要があるなって思ったんですよ。面白いにもいろいろありますからね。
ちょっと私が思う「授業における面白いとは何か」をまとめてみたいと思います。
①ユーモアがある
まずユーモアですよね。これは分かりやすい。単純に笑えるものです。
例えば私はルソーが教科書に出てきた時、「この人露出狂だったんだよ」って話をするんですけど。
そうするとやっぱりちょっと笑いが起こるんですよね。
「そんな人が教科書に出てていんですか?」「変態じゃないですか…!」っていう。
それだけじゃなくて他にも偉人たちの失敗談だったり。地理の分野だったら私自身の海外でのエピソードをしてみたり。
そういう教員側から提示するユーモアっていうのは一つの分かりやすい「面白さ」なのかなって思うんです。
②興味深い
もちろん学問ですから,「興味深い」っていう面白さもあるんですね。
例えば日本は最初の東京オリンピックの最終ランナーを坂井義則っていう大学生に任せているんです。
オリンピックの最終ランナーっていうのは、もう世界中が注目している場面ですから他国では過去のメダリストたちが務めたりするなど、そうそうたるメンバーがやる中で、日本はあえて大学生を出してきた。
それは坂井義則が「1945年8月6日生まれ」だったからなんですね。
そう、原爆が落とされた日に生まれた子なのです。
そんな人物を最終ランナーに抜擢した日本政府の狙い。
東京オリンピックに込めた思いを考えるっていうのを授業でやったりしたんですけど。
そういう話っていうのは興味深いっていう意味でやっぱり「面白い」と思うんですよ。
③達成感がある
そして達成感っていう意味での「面白い」もあると思うんです。
具体的に言うなら「○○高校の入試問題だよ」って言って、超進学校の入試問題を出してみたりする。
もちろん超難しいわけですが,ヒントを与えたりしながら解けたときには「出来た!」っていう達成感があるわけで。
それが解けた自分に対して物凄く自己有用感を感じることが出来るわけです。
なので何度も書いていますが、やっぱり提示する問題は基本的には難しいものの方がいいと思っています。(頑張ればなんとか出来るぐらいの難易度のものですね)
④自分が出せる(多様性がでる)
そして子ども達はやっぱり自分のことを表現したいし、その意見を周りに認めてもらいたいっていう気持ちがあるわけですね。
だから、答えが画一的なものになるような発問じゃなくて,個々人の経験に基づいて答えが出せるような発問がいい発問だと思うんです。
例えばこの前は「日本と清はどういう関係だったと言えるか?」っていう発問をして,それを日清修好条規の条文を見ながら考えるっていう授業をやったんですけど。
条文をみると対等外交であることが分かります。
だからみんな、「対等な関係」「お互いにとって利益がある関係」って書いてたりしたんですけど。
でもそんな中でそんなに勉強が得意じゃないある子が、
「仮の友達みたいな関係」
って回答をしていて。
なんでそう書いたのかを聞いたら
「(交易を拒否している)朝鮮と関係を結びたいがためだけに先に中国と条約を結んだ気がする。だから、本当の友達じゃないと思う。本当に仲良くしたい子がいるけど,うまくいかないから,その子の仲のいい子に近づくみたいな」
って回答したんですね。
私これ素晴らしいなって思ったんですよ。めちゃくちゃ自分の頭で考えて自分の言葉で表現してるじゃないですか。
そこで私は「確かに君が言うように、このあと日本は清と朝鮮を巡って戦争になるんだ。だから仮の友達って表現とってもいいね」って言ったら、クラスから「○○すげぇ!」って発言者を称賛する声が上がって。
発言した子は嬉しそうに周りの子とハイタッチしたりしてたんですよ。
そうやって自分の考えが出せたりする問題っていうのはやっぱり聞いている側も「面白い」と思うんですよね。
スタンダードなところだと、「日本は今後どうやってエネルギーを確保していくべきか?」とかの発問でも答えが多様になるので、十分に面白い展開になります。
ちなみに数学みたいな答えが一つのものの場合でも、アプローチには多様性がでます。
例えば社会でも時差の計算は答えが一つですね。
でも子どもによっては「スマホで調べちゃう」だったり「計算する」だったり。「地図帳の時計マークを参考にする」など解法は様々で。そこが面白いところなんですね。
そのアプローチの多様性をみんなで共有できるかどうかっていうことが面白い授業かどうかの分かれ目だと思います。
⑥欲求を満たす
また原始的ですが、欲求が満たされる面白さもあるなって。具体的に言うとお腹が満たされたりすることです。
この前みた研究授業は「北海道で生産された米を食べる」っていう導入だったんですけど。(品種改良に伴って味が良くなっていることに気づくっていう内容でした)
こういうのも面白いですよね。
地理の授業だったら、関東地方を学習する際には私は干し芋を取り上げたりします。
干し芋っていうのは、関東ローム層とからっ風っていう関東地方の二つの地理的な要因が絡んで出来ている産品なので、学習につなげやすいんですね。
そこに気づいて回答して、上手く説明できた子に食べてもらって感想を言ってもらったりする。
ちょっと原始的ですがそういう面白さってあると思うんですよ。
⑦主体的である。
また学習者自体が主体的であることも重要です。一方的にされる話って面白くないんですよね。
劇って見てる方より演じてる方が面白いと思うんですよ。バンドだって聞いてる方より演奏してる方が楽しいはずです。
だからちょっと発問が与えられたら、あとは教員は最低限の指示だけ出して、あとは出来るだけ生徒の発言が多く出てくるような授業をする。
たくさん時間内に喋れるほど生徒は「面白い」と感じるはずです。
⑧ゲーム性がある。
またやっぱり子ども達はゲームみたいなものが大好きなんですね。
社会科だと、お金に関する学習のところはゲームにしやすいんです。
株価ゲームだったり,円高円安ゲームだったり,貿易ゲームだったりと色んなゲームが開発されています。
私はそういうゲームを積極的に授業に取り入れたりしています。
(他にもゲームの理論は授業においても非常に参考になるので、過去記事のこちらをご覧ください。)
⑨点数がとれる
そしてラストなんですけど。
どれだけ面白くて興味深い授業をしたとしても,テストで10点取れない子っていうのはいるんですね。
どうしたって嫌になるじゃないですか。
だからこそ、「点数が取れるような仕掛け」をしてあげることが大事なのかなとも思います。
良くある手ですが、確実にここから出すというプリントを出して、そのまま解ければ最低でも10点は取れるようにしてあげる。
そしてその成果や努力が見えた子についてはその出来たことを認め、「よく頑張ったな!」と褒めてやる。
そうやって点数取れるっていうのがやっぱり面白いと思うんですよ。
みんなが100点取れる子だったら勉強なんて面白くてたまらないはずですよ。実際にはそうじゃないから辛いわけですね。
最後に
今回は私の思う「面白い授業」について書いてみました。
これについては随時書きながらアップデートして行けたらと思います。
皆様の参考になれば幸いです。
本日も読んでいただき、ありがとうございました!