先日こちらの本を読みまして。
もともとちょっとアートへの関心があるので,読みたいなぁと思っていたんです。
更にはツイッターの他の先生方も「面白い!」「ぺージをめくるのがどきどきする!」みたいに大絶賛されていたので,読んでみた次第です。
要約と感想を書いてみます。
要約
著者は美術の先生。その先生が,中学校で実践してきた美術の授業が美術や物の考え方を変えると人気で,その内容をまとめた一冊になります。
アートがこれからの時代は大事
筆者は「アートのような力こそがこれからの時代は大事」としています。
というのも世の中は「VUCAワールド」だからです。
(「VUCA」とは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をつなぎ合わせた造語のこと)
つまり,技術の発達によってこれまでと違ってあらゆる変化が起きて見通しのきかない世界になっています。
そんな世界では,アートのように「自分なりの答えを出せる」ことが重要であり,そのトレーニングという意味でもアートが大事だと筆者は主張しているのです。
アーティストは「自分なりの答え」を出した人たち。
本の中ではそのように「自分の答え」を見つけた例がいくつも出ています。
例えばルネサンス期までは「いかに本物に近いか」「リアル」か,というのが絵を評価する上での唯一の観点基準でした。
しかし,そんな作品はカメラの登場によってあっという間に価値を失ってしまった。
そこでマティスという画家は「リアルじゃなくてもいい,絵だからこそ出来ること」みたいなものを追究し,その結果として有名な「妻」を描いた作品を出したようです。
つまり,作品を通じて自分なりの答えを出す,それこそがアート活動なのですね。
ピカソやマルセルデュシャンなど,一見不可解な作品を出す人たちがどういう思考でその作品をつくったのか,またその鑑賞の際のポイントなどが分かりやすく解説されています。
感想
読んでみて思ったのですが,すべてのことがアートと言えるのかもしれません。
私もこうやって本を読んで,文章を書いているわけですが,先行するものを見て,自分の考えを混ぜながら表現していくという活動はアートそのものかもしれないと思いました。
また読みながら「絵が下手」「アートは分からない」という美術のトラウマや呪縛みたいなものが少しずつ解放されていく感じがあります。
本の中では授業を受けた子ども達の言葉が紹介されているのですが,その言葉がまさにアートというぐらいとても生き生きしているのです。
前に読んでいたこちらの本と重複する部分もありますし、すでに学校の美術教育では当たり前になっていることが書かれているところもあります。
それでもアートってなんだろうと考え,自分のものの見方を鍛えるという意味では非常に読みやすく,中学生にもおすすめの一冊です。
次の一冊にいかがでしょうか。
皆様の読書の参考になれば幸いです。
本日も読んでいただき,ありがとうございました!